top of page

介護を知る−3

1

DAY-3

7.基本の介護マナー

8.挨拶・服装について

7.基本の介護マナー

 

■傾聴(けいちょう)とは?


まずは介護の基本『傾聴』についてのお話しです。 言葉の意味は『話に耳を傾け、良く聴く』ことですが、実際にはそれだけのことではありません。 介護をする上で必要な傾聴とは『利用者様の話に耳を傾け、共感しながら聴く』ということです。『老化によって身体の自由が利かず、他人の世話になり、気持ちを上手く伝えられずにストレスが溜まっているのに、誰も耳を傾けてくれない』といった状況では自信をなくし老化が進む一方です。 傾聴を行なうことで大きな精神的安らぎとなり、進んで会話しようとする意欲が出てきます。会話をすることで自信を取り戻し、様々なことを考えることで精神活動が活発になり、イキイキとした日々を送ることに繋がります。これが本来の介護における傾聴の意味だと考えます。

 

■自分が始められること

 

⑴共感

相手の感情をそのまま受け止めてあげること。

「可哀想」「何かしてあげたい」は同情であり、優位に立っているため共感ではありません。ありのままの感情を受け止めてることが共感になります。

⑵受容

ありのままを受け入れ、自分の考えやアドバイスは控えます。利用者様の価値観や人生観を大切にします。 「でも」などと否定したり、話しに割り込んだり、話しの腰を折ったり、批判をしてはいけません。

⑶支持

ご利用者様の悩みや不安に対して、「わたしも(誰でも)そうですよ」と支持することで共感と同時に勇気や安心、信頼感が芽生えます。

 

以上3点に注意しながら、『相手に話しをさせる』ことを目的に聴くことに徹することがもっとも大切で、利用者様とのコミュニケーションも円滑になり信頼関係が生まれていく第一歩です。

 

■声掛け・言葉遣い


介護の現場で、言葉遣いは大きなテーマになっています。何より問題なのは、利用者様に対して敬意を込めた正しい言葉遣いができていない人が多いことです。言葉遣いの悪さは、必ずしも敬意を払っていないとは限りませんが、ぞんざいな口調や幼児言葉などを使っていると、それなりのケアになっていくものです。正しい言葉遣いをすることはケアの質を高める一助となり、自分自身を磨くことにも繋がります。 少しずつ訓練しながら、丁寧な言葉で話せるようにしていきましょう。

 

【声掛けの注意点】

⑴なれなれしい話し方や幼児言葉は避けましょう。

利用者様に対して友達のような言葉遣い(俗に言うタメ口)や「おててを洗いましょう」など、幼児に使うような言葉遣いは決して気持ちの良いものではありません。

⑵適切な声の大きさで、ゆっくりわかりやすく。

聞こえが悪い方に大きい声で話し掛けるのは仕方がありませんが、誰にでも大声で話すのは考えものです。その方それぞれにあった適切な声の大きさで話しましょう。 ゆっくりとわかりやすく話すことが大切です。

⑶相づちや受け答えにも気を配りましょう。

ちょっとした受け答えにも、相手への気持ちが現れるもの。片手間のような相づちやいい加減な受け答えは利用者様ご自身が軽んじられているという思いを抱かせてしまうので注意が必要です。

⑷聞こえる方の耳だけに話しかけないようにしましょう。

脳梗塞の後遺症や片麻痺がある方は麻痺側の耳が聞こえにくい場合があります。 そのため、聞こえやすい側の耳に口を近づけて話す姿を目にしますが、この話し方では顔の表情も見えづらいため反応がわかりにくく、一方的な声掛けになりがちです。 正面からでも聞こえる大きさの声できちんと相手の顔を見て話しましょう。

 

■基本は自立を促すケア

 

わたしたちケアを行なう人が考えなければならないことは、『出来るだけご自身の能力に応じた力を使って、自立した生活が送れるようにすること』です。 利用者様ひとり一人の身体状況は違います。まずは、個別の身体状況を把握し、ご自身で「トイレに行けた」「お風呂で洗髪ができた」「食事を口へ運ぶことができた」など、普段通りの生活と同じように、または介助(お手伝い)することで同等の生活を維持できるように働きかけることが大切です。

施設の中でありがちですが、本来はご自身で箸やスプーンを持って食べることが出来るのに、スタッフが「忙しいから」や「楽だから」と言って介助に入ってしまうことがあります。これでは、その方の残っている力を最大限発揮させ、自立した生活を送っているとは到底言えません。まずは、「ゆっくりでもいいですから、ご自分で召し上がってみましょう」と、声掛けを行なうことから始めましょう! 「できない部分はお手伝いしますね」と声を掛けながら状態を確認し、時には「季節に合ったメニューで美味しいですよ」などと会話を楽しみながら、その方のペースにできる限り合わせて自立を促すケアを考えて行動してみましょう。

ケアをどこまで行なえばよいかわからないと感じたら、まずは先輩に確認したり、生活相談員や管理者に確認してください。介助の仕方が違うとき、介助の考え方が違う時、不安を感じるときは必ず上長へ相談しましょう。

job_kaigoshi_woman.png
job_kaigoshi_man.png

7.挨拶・服装について

 

■接遇とは?

 

ケアスタッフの接遇とは、利用者様やご家族との距離をグッと縮めるための大切なツール。お一人おひとりの満足度に直接繋がると言っても過言ではありません。 ケアスタッフとして高度な介護技術を提供することはもちろん大切ですが、利用者様の安心や信頼を得ることも介護に取り組む上での重要なポイントと言えます。接遇スキルを磨き、相手にとって『安心して接することができる人』を目指してください。

 

■挨拶

挨拶は最も基本的なコミュニケーションです。

●挨拶をする時にはしっかりと相手の目を見ましょう。

●誰に向けて話しているのかを立ち止まりはっきりさせましょう。

●気持ちを込めて、相手が聞き取りやすい声を意識しましょう。

●笑顔も忘れずに!

●自分から率先して挨拶し、利用者様のその日の状態や体調をよく観察しましょう。

 

■聴く姿勢

円滑なコミュニケーションには相手の話を聴く力も必要。聴き上手になることが大切です!

●言いたいことを上手に引き出すには、まず相手の話や意見を肯定しましょう。

●「相手が自分の話を聞いてくれている」という心地良さを与えましょう。

●『ながら応対』はなるべくしないこと!一端、立ち止まり、手を止めて耳を傾けましょう。

●相手の目線に合わせた姿勢で話を聴きましょう。

 

■お辞儀

​相手の目を見てから、ゆっくりと姿勢良く。

●両足をきちんと揃えて重心を前に置きましょう。

●上半身をまっすぐにし、頭だけが下がらないようにゆっくりと前へ傾けます。

●両手は身体の横または前につけて、猫背にならないように注意!

■身だしなみ

身だしなみは相手への敬意を表すものです。

●自分の第一印象を決定づけることを自覚しましょう。

●清潔感や機能性を重視した身だしなみを意識しましょう。

●サンダル・ジャージはNGです。

【チェック項目】

①靴は汚れていないか?

②髪や爪、ヒゲは清潔があるか?

③メイクは派手すぎていないか?

④きちんとボタンなどをしめているか?

自分自身でしっかり確認し、利用者様やご家族の方に不快感を与えないように気を付けましょう。 ケアスタッフにとっての接遇とは利用者様やご家族の方に安心感を与え、信頼を得るための最低限のマナーです。 挨拶や言葉遣い、身だしなみはもちろん、相手の状況や気持ちを理解して寄り添う姿勢が重要となります。

「利用者様となかなか打ち解けられない」とお悩みの方は、ご自身の接遇マナーを一度見直してみるのも良いかもしれません。接遇は介護のプロとして常に意識したいスキルです。 しっかり身に付けて利用者様やご家族の方と良い関係を築いていきましょう。

基本の介護マナー
挨拶・服装について
bottom of page