介助の基本−3
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DAY-3
7.はじめての排泄介助
8.オムツ交換
8.オムツ交換
■オムツとパッドを併用した交換方法
【オムツ交換の手順】
①テープ式のモレ防止の立体ギャザーの内側に、尿とりパッドを入れます。
【男女別パッドの向き】
②身体を横向きにして、おむつのテープが体につかないように折り、おむつの中心を背骨の位置に合わせるように置きます。上側のテープが腰骨の位置より上になるように置くのがポイントです。
③身体をゆっくりと仰向けに戻し、尿とりパッドを引上げます。※尿とりパッドの立体ギャザーを両手で軽く持ち、脚のつけ根に沿うように引上げます。
④テープ式オムツのシワを伸ばしながら、左右に広げます。
⑤尿とりパッドのズレ止めテープのある部分を上から軽く押さえズレないようにしながら、まず下側のテープを左右順番に止め、次に上側のテープも左右順番に止め、身体に合わせます。
●お腹まわりが細い場合は、上のテープを斜め下向きに。
●脚まわりが細い場合は、下のテープを斜め上向きに。
●身体全体が細い場合、上下のテープを交差させて止めましょう。
●テープを止めた位置が左右対称になるように注意しましょう。
【あて方の悪い例】
●脚まわりにすき間がある。
●立体ギャザーが内側に折り込まれている。
オムツを引き上げるときに、曲がらないように注意しましょう。立体ギャザーを太ももにきちんと沿わせるようにします。
●オムツがずり落ちて、お尻が出ている。
ウエスト部分がゆるくなりすぎないように(指1本程度のゆるみが目安)します。また、上側のテープは腰骨より上の位置にくるようにしましょう。
●オムツが曲がり、テープの止め位置が左右対称でない。
オムツを引き上げる際に、曲がらないよう注意しましょう。
【尿量が多い場合】
●尿量が多い男性のオムツ併用パッドの工夫《三角折》
●尿量が多い女性のオムツ併用パッドの工夫《ジャバラ折》
■あと始末の仕方
排便後は漏れないように注意し、小さく丸めて新聞紙等で包みゴミ袋などに入れて処理します。
■基本的なオムツ交換の手順
①オムツ類の準備をし、室温調節をします。
②一つずつの動作に声をかけましょう。
「これからオムツを交換します」
③プライバシーに配慮しましょう。
多床室の場合はプライベートカーテン、パーティションをして、前隠し用タオルを用意します。個別室の場合は居室のドアを閉め、前隠し用タオル等用意します。
④布団をとって、ズボンを下ろし、タオル等をかけます。
⑤オムツを開き、マジックテープは内側にきれいに折り込みましょう。
⑥下用タオルで拭き、必要に応じて陰部洗浄を行います。
⑦臀部もきれいに拭き、新しいオムツを当てましょう。(必要に応じてワセリン等の塗布)
⑧オムツを閉じてズボンを上げます。
⑨衣服を整えます。(必要に応じてベッドのギャッジアップやクッションを使用ます)
⑩布団をかけて退室します。
■オムツ交換の質を高めるコツ
【オムツ交換前】
①オムツやパッドをあらかじめ開いて用意します。
②開いたオムツやパッドを縦に2つ折りにします。(身体に自然とフィットするようにするため)
③ギャザーも立てておきます。(折れていると漏れの原因になります)
【オムツ交換時】
①身体を横に向けてオムツやパッドを入れる際、お尻の中央に当たるように調整します。
②仰向けになった状態で、オムツやパッドがきちんと中央にきているか確認しましょう。
③パッドを前に当てる際はソケイ部に沿うようにし、ジャバラ折りや三角折で漏れを防いでください。
④オムツは左右から腸骨に沿うように当て、特に太もも部分は隙間を作らないようにして閉じます。
7.はじめての排泄介助
■排泄介助について
排泄の失敗は、本人にとって大きなショックです。その気持ちに寄り添いながら、排泄を上手にケアしていきましょう。
⑴自尊心を傷つけてはいけません。
排泄は非常にプライベートな行為であるため、ほとんどの人は手を借りることに抵抗があります。
排泄に失敗したときの声掛けには十分注意し、うまくできたときは一緒に喜ぶようにしましょう。
⑵水分の摂取を控えさせないようにしましょう。
排泄が思い通りにいかなくなると排泄の頻度を減らすため、自ら水分摂取を控えることが多くあります。しかし、身体に必要な水分を蓄える機能が低下している高齢者は、十分な水分をとらないと脱水症状や便秘になってしまいがちです。さらには、脳梗塞などの一因になる可能性もあります。
体内の水分が不足することの危険性を伝え、水分を積極的に摂取してもらいましょう。
⑶自力でできることを増やしましょう。
失禁の回数が増えると介護する側はオムツの使用を考えるかもしれませんが、まだ尿意や便意の意思表示が可能なのにオムツを着用することは、自尊心を傷つける行為と受け取られがちです。
また、トイレまでの移動がなくなるため運動量も減り、筋力が衰えるというデメリットもあります。
オムツの使用は最後の手段と考え、できることは自分でやるように促し、排泄の自立を目指しましょう。
⑷時間を決めてルーティン化しましょう。
食事の後や外出の前など、決まったタイミングで排泄を促し習慣にすると失敗の回数を減らすことができます。
■利用者様に合った排泄方法
必要な介護のレベルは人それぞれなので、トイレまで歩ける方もいれば、寝たきりの方もいます。利用者様に適した排泄方法を選んでいきましょう。
【排泄方法の種類】
適切な排泄方法を選ぶために、まずは排泄方法の種類とそれぞれの特徴を把握しておきましょう。
⑴自立(歩行時の付き添いや見守り程度の自立度が高い方)
トイレ内介助の必要がない方は「自立」とし、排泄誘導の際に声掛けだけさせていただく方を指します。歩行時のみ転倒に気をつけながら見守りや手引き歩行など、上長に確認しながら行なってください。
⑵トイレ内付き添い(一部介助)
認知症が進んだ方や身体の不自由な方へは、トイレ内まで付き添い排泄の順序を声掛けしましょう。衣服の着脱が難しい方へは、声掛けを行いながら着脱のお手伝いやパッド・リハパンの交換をします。
⑶トイレ内付き添い(全介助)
常時、車椅子利用の方や重度の認知症で意思疎通が困難な方、尿意・便意の訴えが出来ない方などは、排泄に向かうところから終わりまで声掛けしながら介助に入ります。重度の方は定時誘導を徹底(2時間おき程度)してください。排泄の訴えがないからといって2時間以上放置してはいけません。尿路感染症を引き起こしたり、褥瘡が発生しやすくなったり、不快感から落ち着かず転倒や徘徊などの症状を引き起こす原因にもなります。
⑷ベッド上での排泄介助
トイレ誘導ができない方はベッド上でのオムツ交換が主な介助になります。介助に入る際は必ず次の動作を声掛けしてから、自尊心を傷つけないよう配慮(パーテーションで隠す、バスタオルをかけるなど)し、定時介助を行い清潔を保ちましょう。自分で寝返りがうてない方は排泄介助の際に体位変換を行うと良いでしょう。
⑸ポータブルトイレ使用の介助
トイレまでの移動が困難な方が夜間ポータブルトイレを使用する場合があります。定時に声掛けを行い、ベッドからポータブルへの移乗介助を行い排泄介助にあたります。その際は利用者様の自尊心への配慮を忘れずに介助しましょう。排泄後は速やかにポータブル内の排泄物はトイレ内に流し、いつも清潔にしておきましょう。