特変・事故対応
1.マニュアルの目的
●利用者様及びご家族に、安心かつ安全な介護サービスの提供を受けていただくため。
●利用者様及びご家族に、質の高い介護サービスを提供するため。
●介護サービスの提供中の事故を未然に防止するため。
●介護サービスの提供中の急変及び急病の処置の遅れをなくすため。
●事故発生時及び緊急時にスタッフが利用者様の状況をより理解し、迅速で適切な対応ができるようにするため。
●危機管理体制の確立を周知徹底するため。
●防災知識の啓発に努めるため。
●事業所内での連絡体制と協力体制を強化し、他の関係機関先との連携を図るため。
●事故の再発防止に努めるため。
2.事故・病状急変の防止
■日常業務の注意点
●基本的な知識を習得し、質の高い介護サービスの提供を目指しましょう。
●利用者様の特徴や心身の状況等を常に申し送り等で把握し、注意を払いましょう。
●普段から利用者様及びご家族とのコミュニケーションを図るよう努力しましょう。
●利用者様に関する報告事項の徹底を図りましょう。
●大小に関わらず、職場全体で情報共有と情報提供の重要性を周知しましょう。
●事業所内の危険箇所を把握し、転倒予防等の安全な対応を心掛けましょう。
【特変・事故の具体例】
●車椅子、ベッドからの転落
●食事の際の誤飲、誤食、誤嚥
●服薬時の誤薬、投薬もれ
●入浴時の状態の急変、火傷、浴室内の転倒
●トイレ時の状態の急変、歩行介助後の転倒
●レクリエーション時の状態の急変、転倒
●発熱、嘔吐、下痢、脱水、低血糖による急変、他利用者様・スタッフからの感染でかかる感染症
【予防と注意喚起】
●サービス利用時のご本人の心身状態、疾病の変化等について、ご家族へ電話・SNS・連絡帳・送迎時などに必ず報告を行ない、ご自宅での注意を促しましょう。また、管理者・相談員への申し送りを当日中に必ず行いましょう。
●ご家族からの心身状態等の報告について把握し、計画に基づいたサービスを提供しましょう。
●送迎時での利用者様の乗降等に注意を払いましょう。
■夜間・休日業務の注意点
●引き継ぎ事項は利用者様ごとに報告を受け、申し送りましょう。
●夜間の事故発生、病状急変等の対応について案件別マニュアル、緊急連絡先を確認・把握し、緊急時に備えましょう。
●施錠、廊下の常夜灯、非常口等を点検し、夜間の安全確認を行いましょう。
●就寝、起床時の転落、転倒等の事故に注意しましょう。
●定期的な見回りを怠らず、利用者様の変化に常に注意し対応しましょう。
3.事故・急変時の注意点
●利用者様の状態を確認しましょう。
(バイタル、酸素飽和度、意識、外傷など)
●利用者様の安全を確保しましょう。
周りに危ないものはないか、危険な状況でないか確認した上で移動を行ないましょう。また、他の利用者様が不安にならないよう声掛けをし、嘔吐・感染症などの場合はすぐに隔離を行ないましょう。
●救急処置を行い、他のスタッフに応援要請をしましょう。
●医師や協力医療機関へ状態を連絡して指示を受けましょう。
●状態に応じて救急車を要請しましょう。
●ご家族、緊急連絡先、CMへ速やかに状況を報告しましょう。
●必要に応じて警察署、保健所、区・市などの関係機関先に連絡して指示を受けましょう。
●経過観察を行う場合には状況、病状などの急変に備えて緊急連絡体制の確認し、様子の詳細、ご家族やCM、主治医との連絡内容の記録を必ず残しましょう。
●記録した文書をスタッフに周知し、事故・特変情報などを常に共有しましょう。
●事故が起こった場合は事故報告書を速やかに作成し、当日中に管理者・相談員へ確認をしてもらいましょう。
●送迎時の事故の場合は送迎者が単独で判断せず、その場で管理者に連絡して指示を受けましょう。
4.災害発生時の対応と防災
●災害(地震・火災)発生時の指揮系統を明確にし、すぐに対応できる環境を整えましょう。災害対策用備品類の保管場所の把握、備蓄類の賞味期限の確認等は必ず行なっておきましょう。
●従業員連絡網が常に最新のものか確認しておきましょう。
●災害発生時のために飲料、医薬品、日用品(おむつ、リハパン、パットなど)を備蓄しましょう。
●災害発生時の指定避難場所や公園、広場等を把握し、避難ルートの確認をしておきましょう。
5.離設防止について
認知症が発症し、症状が進行すると徘徊行動がみられる場合があります。行動の抑制が効かず、隙を見て施設からこっそり抜け出してしまうことを離設といいます。利用者様の気持ちを理解し、未然に防ぐための取り組みをスタッフ全員で行っていきましょう。
【不穏な行動理由】
●何か用事を思い出した時
(仕事や用事、トイレ、探し物など)
●その環境を不快に感じた時
(明るさ、温度、湿度、騒音、匂い、不潔など)
●その空間にいる人との関わりを不快に感じた時
(人数、関わる頻度、対応方法、相手の態度、マンネリ化など)
●自己の興味・関心が、その空間に向かないとき
(やりたいことができない、一方的な押しつけに対する不満)
「部屋から出たい」「家に帰りたい」と思うその瞬間、きっとそこには、ご本人が落ち着けない理由があるはずです。時間を忘れて集中できる活動やくつろげる空間がある・・・これこそ「離設行為」の予防方法でしょう。『離設行為』が頻回にみられる認知症のAさんが問題なのではなく、『離設行為』をさせているわたしたちスタッフ自身が問題なのだと認識することが何より大切です。離設に備え、『離設・行方不明対応マニュアル』を事前に確認しておくとともに、日頃からの取り組みが不可欠です。
●施設内で離設をさせない為の方法を常に話し合いましょう。
●利用者様ひとり一人に対する理解を深めましょう。
●集中できる環境、くつろげる空間づくりを行いましょう。
●こまめな声掛け実施や、コミュニケーションが取りやすい環境づくりに取り組みましょう。
忙しい時ほどスタッフ間での連携が乱れ、離設につながることが多くなります。フロアを離れる際は普段から常に意識して「個別の介助に入るのでフロア対応をお願いします!」と声を掛け、誰かがフォローに入ってからフロアを離れるよう徹底しましょう!